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雨の代官山。

今から二十数年前、二十歳そこそこの頃、当時の職場の先輩と 東京に旅行に行きました。修学旅行以来の東京の旅でしたから それはもう入念な下調べをして行ってきました。

仕事柄、原宿は勿論 渋谷、青山近辺をくまなく歩き・・・といっても仕事の用事で行った訳ではなかったので、選んで入る場所は 完全に趣味の世界・・・メインの竹下通りは避け、あくまでも裏側をずんずん歩いて行くと・・・古い住居が 立ち並び、生活観たっぷりの路地の一角に 急に素敵なお店が現れます。アメリカの古いネオンサインやパブミラーが店頭を飾る雑貨店。小さな手書きの看板の先には 個性的な品揃えの洋服屋。レザークラフトの店に帽子の専門店。何故こんな場所に・・・ブリキのおもちゃ博物館・・・などなど。木造家屋のとなりにコンクリート打ちっぱなしの近代建築が不思議と調和する空間・・・そんな場所を選んで そぞろ歩いたのです。とても刺激的でした。民家の玄関先にある鉢植えの花でこそ、素敵に思えました。

何の雑誌か忘れてしまいましたが、「○○さんがすきな場所」のような記事が紹介されているのを見て、絶対行きたい!と思ったのが “代官山食堂”でした。写真は その食堂を正面からやや離れたところからの 周りの佇まいも うかがえる白黒写真でした。同潤会アパートという 当時でも古いアパートの一角にあった 古~い食堂がそこです。周りを大きな木に囲まれ、写真ではそこが到底 都会にある景色とは思えませんでした。

その日は 朝からあいにくの雨。ビニール傘のぽつぽつという雨音も心地よく響きます。足取りは 急ぐでもなく だらだらでも無く、軽いものでした。そこでも、歩く先々に 色んなものを発見できたからです。行く予定があったのか 偶然なのか・・・“ハリウッドランチマーケット”がありました。話題の古着と雑貨のお店でした。イタリアの家具のショールームもよく覚えています。半地下のガラス張りで かっこよかったから。道路わきには よく知っているメーカーの営業車が何台も止まっていて、一緒に写真に納まったりしました。

雨足も強まった頃、目的地の“代官山食堂”に着きました。周りのアパートも苔むした感じで 大変な趣です。ちょっとした林の中の小道の先に その建物はひっそりと佇んでいました。古ぼけた白い暖簾が寂しそうにゆれていました。目に映る景色は 勿論色付だったけど 何故か写真で見たような 白黒の景色だったような気がします。この先の 実際の生活観を見たくなくて 入って食事をすることはやめにしました。雨に降られて、少し遠くから見る 風情のある景色だけで 十分だったのです。(ちなみに とっくの間に取り壊されてしまったそうです。)

雨が降らなければ、あの景色はもっと違うものになったことでしょう。ビニール傘に当たる雨粒の音と感覚があったからこそ 今も印象深い景色になったのだと思います。

今 店内を見渡すと 何故かあの時の景色が蘇ってくるのです。

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