« ひとつひとつ。 | トップページ | 近くに。 »

一番のお気に入り。

古いものとの出会いは 本当に突然で、よくぞ残っていてくれました!と感動を覚えることも少なくありません。

毎年印象深いものがあるのですが 今年はなんと言ってもこの陶器のフィギュア。可愛くて一目ぼれして購入しましたが 調べても調べてもその正体は不明・・・見れば見るほど謎めいた存在です。

細工が細かく、何色もの色が使われていて 流れ作業で大量に作られた感じがしません。当然、職人さんの手作業による着色で 筆運びの苦労が垣間見られます。一つ一つ手作業だとすれば 気の遠くなるような工程を経て、作られたのだと思います。

最初は ただ可愛いと思って手に取りましたが よくよく見てみると、昔の内藤ルネさんが描く好奇心旺盛な女の子の表情のようで・・・カメラを構えた人に、そんな女の子が自身たっぷりに ポーズをとる一瞬を捉えたようで・・・手の表情も 足の開き具合も その一瞬を立体化させた職人さんのすごさを感じることが出来るのです。ただの陶器のお人形という風には 私には思えないのです。

それに、描かれている場面も面白く、興味を惹かれます。雨が小降りになるタイミングを見計らい、森へと きのこ狩りに出かけます。片手に傘を もう一方にはバスケット一杯のきのこを持って・・・しかし、そのきのこは どう見ても毒性のありそうなきのこです。いったい何のために・・・正体はわかりませんが 私には 内藤ルネさんの内面を写し出したもの・・・という感覚を拭い去ることが出来ません。男性でありながら 同姓のことを好きになる・・・現代でこそ そういう感覚を理解できる環境が出来つつありますが、60年ほど前の日本は それを異常なことと考える風潮が一般的でした。

自分の内面を知り、葛藤する姿は ルネさん自身 たくさんの作品で表現されました。若い男の子をコレクションする魔女のお話だったり・・・どこか陰鬱な印象を受ける不思議なお話です。その作品を発表する以前の段階では おおっぴらに出来なかったその感情を 可愛い女の子の人形で 間接的に表現したかったのかも・・・と推察できるわけです。カメラの前でポーズした一瞬・・・と書きましたが 本当はきっと、誰にも言わず たった一人の思いつきで出かけ、その時の秘めた想いを俯瞰から見て 自分を写し出した像・・・それが正解のような気がします。

そんな大げさなことではないかもしれない。それに、ぜんぜん違う人の作ったものかもしれない。正直、そんなことはどうでもいいのだけれど そんな風に鑑賞できるこのお人形は 私にとって大切な宝物となったのです。

古いものには いつも感心させられます。そんなことを思わせてくれるものって、本当のアートだと思うのです。今年一番のお気に入りは 大切なコレクションの仲間入りとなりました。

追伸、お店はイベント中ではありますが 明日、15日(水)はお休みを頂きます。

Photo

|

« ひとつひとつ。 | トップページ | 近くに。 »

懐かしいもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ひとつひとつ。 | トップページ | 近くに。 »