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絵を飾るように。

ある方のお話を伺いました。食器の問屋にお勤めだったらしく、当時は あるものが飛ぶように売れたそうです。たくさんあった食器の問屋さんも ある業界が出てきた影響で どんどん無くなってしまったとのことでした。経済の流れとは そういう風に変わり、淘汰されてしまうのだな・・・仕方の無いこととはいえ なぜそうなってしまうのだろう・・・と思います。

新しいものが生まれ、古いものは姿を消していく・・・。大多数の人たちが新しいものを求め続けることは 仕方ないにしても、古いものも大切にすることを忘れてはならないと私は思います。それは 趣味的ではありますが 芸術に対する感覚と似ているからです。

わざわざ日本に来て高額な浮世絵を買ったり、盆栽の侘びさびに 心の穏やかさを求める外国の人が多いといいます。異文化であるにしろ その背景を知り そのよさを理解し、感銘を受ける中で その心の豊かさが 暮らしに何をもたらしてくれるかを知っているのです。たくさんの時間を掛けなければ できないもの。人の手がこつこつと作り上げたもの。それは 時間を経た中で、今の私たちに 何を感じさせてくれるのか・・・感じたことが 暮らしの中で どう生かされていくのか・・・大切なことがたくさん垣間見れるのです。

芸術には興味もあるし、好きだけれど 高尚なものに手を出せるような身分では有りません。でも、古いものを通して 自分作りが出来ることには 貪欲でありたいと思っています。

暮らしに必要の無いものを“飾る”ことには 自分の好みが反映されなければなりません。好きでもないものを飾ることほど無駄なことは無いものです。好きだからこそ知りたいし、集めたいし、眺めていたい。どんなものでも 凝ることでその人の魅力が深まる・・・私は そう思います。いったい どれくらいの方が 好きなものを 暮らしの中で飾っているのでしょう。それぞれの個性で 楽しんで欲しいものです。

古い掛け時計を店頭に出しました。時代は 大正~昭和初期の頃のもので、およそ100年位前のもの。ガラスも割れており、動かせたら・・・と思ったのですが 無理でした。振り子式ではなく、テンプ式という 手巻きの目覚まし時計のような稼動方式になります。そのテンプを行ったり来たりさせる細いばねが欠損しており、動かすことが出来ないのです。でも、鐘は鳴ります。いい音です。専門家なら直せるはずですが 私には無理。しかし、動かないからといって、100年ほど前の貴重なものを捨てられもせず・・・文字盤を外し、中の機械を見れるようにして、飾るものとしてご提案させていただくことにしました。鐘を鳴らすときの歯車の動きとか その構造は 見ていても飽きません。この時計が生まれた時代背景に思いを馳せて・・・きっと楽しませてくれることでしょう。

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そして、こちらは「扇雀飴」のビンです。蓋が無いのが残念ですが 消えかかった商品名も雰囲気よく、飾るにはかっこいいビンです。“扇雀飴本舗”と書いてあるので 1961年(昭和36年)以降のものとなります。東京オリンピック前なので 「オールウェイズ 3丁目の夕日」の一作目の時代背景と同じ頃です。商店街に多くの人が行き来し、賑わっている様子が目に浮かびます。

あの頃の活気と賑わいを自ら手放してしまったように思う私には こういうものが刺激をくれて、目に付くところに飾りたくなる存在となるのです。

心から好きな絵を壁に飾るような感覚で。

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