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ロングバケーション

あれは 三十数年前の夏・・・学生だった私は ただ一週間寝ていれば直る病気で入院することになりました。友達が 退屈しのぎにと ウォークマンを貸してくれました。その一週間、ずーっと聞いていたのが 大滝詠一のア ロングバケーションでした。

当時、発売したてのそのアルバムは 大ヒットし、コマーシャルソングなどで活躍する 影の有名プロデューサーだった人が 突如、私たちの前に現れ、いまだ 年老いた男の心に 数々の名曲を残すことになった きっかけのレコードだったのです。真夏の病棟の窓から入る 心地よい風とともに 南の島の潮風を運んできてくれたようでした。ヘッドホンで 大音量で聞くものだから 普通に聞いていては気付かない小さな楽器の音やコーラスの厚み、歌声・・・そしてなんと言っても松本隆の詩の世界観に しびれたものでした。当時、そのアルバムがきっかけで ラジオのゲストとしても登場し、今までの音楽活動や どんな人に楽曲提供してきたかなど 知ることになりました。

たくさんの楽曲を聴いていると 失恋をテーマにした曲が印象に残ってきます。そこに共感が生まれたのも事実ですが 一歩を踏み出せない男の哀愁・・・つまり、片思いや 友達関係から抜け出せないもどかしさのようなものが背景にあり、男の中にも 恋に恋する気持ちが かつてあったなぁ・・・としみじみ思い出させてくれるのです。何が何でも 恋に発展させられることなどなく、思うだけしか出来ない恋もあったわけで・・・そのほうが 印象に残ってたりするのかもな・・・と感じるのです。

そんな大好きな 大滝詠一の楽曲の中でも 一番は「夢で会えたら」という曲です。「夢でもし 会えたら、素敵なことね。あなたに会えるまで 眠り続けたい。」と始まるこの歌は 最初に吉田美奈子さんのアルバムの一曲として提供され、話題になりましたが シングルカットされることは無く、後に シリア・ポールさんが歌い 多くの人に知られることになりました。その後たくさんのアーティストにカバーされ愛され続けています。大滝さん亡き今、新しい曲を聴くことは出来なくなりましたが 没後、プライベートスタジオで発見された楽曲が見つかり CD化され それを惜しみながらも聴くとことが出来ます。あの青春時代の 入院生活に出会った素敵な楽曲たちは 今でも私に その頃感じた心模様をいつまでも思い起こさせてくれています。

以前に何度も書いていますが 私は男でありながら 昔の女の子向けファンシーグッズが大好きです。小さな女の子がレディーに憧れて ちょっと背伸びするような感覚のものや 恋に恋する気持ちを表したようなもの・・・そんな乙女心は持ち合わせてはいませんが 「夢で会えたら」のように 好きな人に夢であえたらいいな・・・と言う気持ちは 正直わかります。遠く離れたあの人も 同じ気持ちなら・・・と願わずにはいられなかった時もありましたから・・・。

大滝さんが亡くなった後、発見された楽曲の中に 「夢で会えたら」のセルフカバーがありました。お葬式の場面で流されたそうですが よくぞ、よくぞ残しておいてくれたものだと感謝しながら聞いています。女性が歌う「夢で会えたら」は その歌詞の通り、女性の気持ちを歌っていますが、大滝さん自身が歌う「夢で会えたら」は 男にも同じ気持ちがあるものだよね。と言ってくれているようで、さすが・・・と思います。三十数年前から ずっと聞き続けている大滝さんの楽曲。そして、ア ロングバケーションを聞くときは いまだに長い入院生活・・・いや 長い休暇を過ごしている気分にさせてくれるのです。

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