素朴なもの。
私は古いものが好きです。それは 現代のもの作りに対する技術の発展や考え方に至るまでに 当時の人々が出来うる精一杯のやり方や 想いを込めて、人が作ってきたものだからです。例えば、印刷物などは パソコンで作った原稿をプリンターで抽出できるようになる前は 版下を作り、インクを選び調整したものを 二度刷り、三度刷りなどして印刷していました。パソコンで作られたものは 鮮明で 美しく、思い通りの仕上がりを得られます。でも、昔は 版下がずれたりして 色が重なったり、思った通りに仕上げることのほうが難しかったわけです。その出来上がりは 比べるまでもなく、違いを生み出しました。しかし、鮮明で 美しく便利になる一方で 人の手を介さないことにより、失ったものが多いように感じるのです。人に代わり、機械が仕事をするのですからね・・・。総じて、現代のもの作りと 昔のもの作りは、こんなにも変わってしまいました。大量生産、大量消費が企業の生命線なので 仕方のないことです。古いもの好きにとって そうして生み出される現代のものに 魅力を感じないのは 生産ラインで自動で出来上がる機械が作ったものには 何も感じないってことだと思うのです。
私が愛してやまない古いおもちゃも同じです。人の手を介して作られたものは 二つとして同じものはありません。人が目を書き入れ、人が彩色するので たくさん作られたとしても一つ一つが唯一のものなのです。そういうものにこそ愛着がわくというものです。それは とても素朴です。機械がどんなに技術革新を経て 成長しようとも、素朴なものに惹かれる感覚は きっと人にしかわからないものだと思います。だから、私は 古いものが好きなのです。

こういうブリキ製のガラスケースも 素材の味わい、華美な装飾を排した素朴さが 古いものならではの魅力を感じる大好きなものです。機械じゃこうは作れない。人の手を介した素朴なものを 素敵に仕舞える入れ物なのです。


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