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扉の向こう側。

新しいお店の内装を考えた時、和室を生かせないかという思いがありました。引き戸のある景色は 懐かしさをもっとも感じられる風景でしたから。だから 扉の向こうには 子供の頃を思い出せるものを置いてみたいと、個人的に好きなものを集める部屋にしようと考えました。田舎で 一番好きだった場所・・・当時の駄菓子屋の入り口もガラス張りの引き戸だったことが理由だったりします。

ガラスの扉を外からのぞくと、漫画や雑誌が並んでいて ノートやちょっとした文具を押しのけて、怪しいくじ引きや安物のおもちゃなどが一番いい場所に並んでいて それはもうワクワクする世界・・・カラフルな駄菓子が暗めの店内を派手に彩って、天井からつり下がったプロマイドやお菓子のパッケージも魅力的。新製品のポスターや企業広告も、とっても重要な情報でした。とにかく 店は古くてもあふれる企業ロゴや 派手な色遣いの雑誌の表紙やお菓子のパッケージがすごく魅力的な世界を作り上げていたのです。小銭を握りしめて 今日も当たる気のしないくじ引きに興じるか、食べたい駄菓子を確実に手にするか・・・引き戸の扉の向こう側は 子供の欲望を引き出し、時に 諦めや大人の事情を垣間見せられる場所でした。でも、そんな何とも言えぬ感情を抱かせてくれたあのお店が今でも 脳裏に焼き付いて離れないのです。

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