食器

気が付けば。

この歳になると 生活のリズムが決まってきて、朝起きるところから 寝るまでが同じことを繰り返して毎日が過ぎてゆきます。若いころなら 変化する暮らしにも抵抗はありませんでしたが、この毎日の繰り返しができていることに この上ない安心を覚えます。時々は 新しい事柄に感動したりして そういうのもいいなと思ったりするけれど、基本 変わらない毎日が送れることが 一番いいと思えるのです。

お店を始めた時から ずっと言い続けていますが 流行にとらわれて、暮らし方が変わることほど無駄なことはないと 今でもそう思います。好きなものは ずっと好き。そう思える自分は悪くないと思うのです。あの人 頑固。と言われようが一向にかまいません。そのほうが人としての魅力にあふれていると思うからです。単純に言えば 好みがころころ変わる人に 私は興味がわかないのです。人の魅力とは 誰かの受け売りで成り立つものではなく、その人の想いや言葉の中に 感じることができるものだと思うのです。そうは言っても 生き方は人それぞれ。私が個人的に思うだけのことであります。

私は ほんとに好きなものが変わりません。好きになったものはずっと好き。そこに新しい好きが増えていき、自分が豊かだと感じることに向かっていけるのです。ヴィンテージのミルクガラスの食器も相変わらず大好きです。今回少しまとめて入荷しましたので ご紹介いたします。

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私は収集が目的ではなく あくまでも普段から使うことが大事だと思っているので 飽きの来ない定番デザインが好きです。ミルクガラスと言えばファイヤーキングと言われがちですが パイレックスのシンプルだけどちょっと素敵な感じが好みです。

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ミルクガラスといえば このジェードカラーです。ずっと憧れています。手前のカップ&ソーサーは1950年代から60年代に作られた、レストラン用の食器です。ガラスがとても分厚く、重いのが特徴。レストランのような場所では丈夫さが大事とされていたからです。プレートは 憧れを身近にしてくれた 雑貨メーカーのレプリカ品。フッテッドマグは 炭酸が似合うマグです。ビールにも似合いそう。

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最後はアメリカらしいポップなデザインマグです。この素朴で おもちゃっぽさがたまらない魅力です。私も 毎朝のコーヒーをかれこれ30年近くミルクガラスのマグで飲んでいます。気が付けば そんなに長い間、朝の時間を楽しませてくれていたんだな・・・と感慨深く思うのです。

 

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眺めているだけで。

流行が廃れようと ずっと追いかけてきたものが ファイヤーキングをはじめとするアメリカ製のミルクガラスの食器たちです。製造されていたのが70年代の後半くらいまでなので、ヴィンテージの良さを一番に感じることのできるものなのです。それに 様々な時代のアメリカを感じることもできて、その時代を想像し 思い描くことができるわけで、その器たちをわざわざ使って 時間をいつくしむという行為は 雑貨を使いながら暮らすという醍醐味をもっとも与えてくれるものだと思うのです。

中でも、ジェードのシリーズや 人気のあるプリントものは高嶺の花だけに 昔からの憧れでした。いつか実物を手にしたいと願いつつも なかなか出会うことすら難しいアイテムなのです。1950年代製造と資料には書かれていても どうも実感がわかない。そういう感じがします。でも、私が生まれるずっと前には 存在していたとすれば それはやっぱりすごいことだなぁと感心してしまいます。しかもこんなに 思いっきり可愛いなんて・・・。

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私が覚えているのは 白黒テレビの時代。日本はまだまだ色のない時代でした。それよりずっと前に アメリカでは こんなにカラフルな食器が使われていたのですから、そんな時代背景を想像してみても なんかワクワクして 元気が出ませんか?私にとっては 眺めているだけで そんなことを思わせてくれる雑貨なのです。

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珈琲通。

私は コーヒーは好きだけど、まったくこだわりというものがありません。ちゃんと淹れたコーヒーがうまいのはわかるのだけど、そこまで手間暇かける気にならないのです。暮らしに余裕というか ゆとりがないのですね。だから、インスタントで十分。お湯を注げばいいだけなので、それでいいのです。

でも、通の人って 豆にも道具にもこだわりがあって 素敵だなと思います。テレビで見た ある達人の人のコーヒーの淹れ方を見た時は まるで儀式。おいしくな~れと言いながらお湯を注ぐ姿は 本当に美味しいものを淹れることを楽しいでいるよう・・・それがコーヒーの魅力。時間を豊かに過ごすってことなんだなと思いました。

確かに、道具にこだわりが出てくることは楽しみの一環なんだと思います。道具が素敵だと 気合も入るという気がします。お気に入りのポットから注がれる 適温のお湯はうまさへの道・・・適当な道具だとそうはいかない気がします。

昔からホーローのポットは 喫茶店でもよく見た景色なの中にありました。しかもこんな色合いのホーローは昔ならでは。現在でも人気の“月兎”の昔のポットです。こんな道具なら 確かに少しテンション上がるよなって思います。珈琲通じゃなくっても。

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些細な事柄。

この時期、朝起きて 雪が深々と降っていると がっかりします。ただでさえ お客さんの少ない時期に こんな天気で来てもらえるはずも無い・・・と思ってしまうからです。ハリーポッターのディメンターが来て、幸せってものがみんな逃げて行ってしまうような気になってしまうのです。朝の段階で それはとてもきついわけです。雪かきの辛さは勿論ですが 気分的にキツほうがしんどいと感じます。だから、朝から晴れて 太陽がまぶしい日は とても気分が軽く感じます。今日は 何かいいことあるかもしれないという期待感が少しだけ生まれるのです。ただ、降るか晴れるかの違いだけで 気分は軽くもなるし、重くもなります。そんな些細な事柄で 人の心は揺り動くのです。

天気がいいだけで 何かいいことがあるなんてことはありません。よくない結果が訪れることだってあります。でも、肝心なのは 心が少し軽くなり、明るい展望を抱けることで 気持ちが前向きになり、それに伴う行動や言動が変わり 何かいいことを引き寄せるきっかけになるような気がするのです。それは不思議なこと。でも、そういうことって往々にしてある気がします。

尾崎亜美さんの曲で 「マイピュアレディ」という資生堂のコマーシャルソングがありました。ポケットに忘れていたコインが入っていただけで 恋をしそうな気分になるって歌です。携帯のない時代の連絡方法は 公衆電話でした。コインは公衆電話を掛けるとき必要なものだったから、予期せず見つけたポケットのコインがラッキーアイテムと感じ、気分が高揚したのでしょう。いつもの口笛も心地よく、この気分ならきっといい結果がもたらされそう・・・そういう歌です。

この感じよくわかります。気分が良ければうまくいきそうな気がする。他人にされることで気分が良くなるのとは違って、自ら気分を軽くすることは いいことを呼んでくれそうな気がします。目の輝きが違う、表情が違う・・・そういうことが自分以外に人に きっと何かを与えているからじゃないでしょうか。人は そういう人に 心惹かれるものです。

今日は朝日がまぶしかったので、受験生の受験当日の朝ご飯をイメージして 写真を撮りました。ただでさえ緊張感のある朝、いいだけ頑張れと言ってきた言葉はもういりません。ただ、応援してるよの言葉の代わりの 愛情たっぷりの朝ご飯は勿論だけど、こんな景色が目の前に広がったら きっと受験生も心弾んで 軽やかになるような気がします。こんな些細な事柄で 人の気持ちは軽やかになるような気がするのです。

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冬の食卓。

冬は鍋料理が多くなるご家庭も増えているようです。スーパーに行けば 様々な鍋つゆが売られ、バラエティー豊かな味わいを気軽に楽しめます。毎日の献立は考えるだけでも一苦労。鍋料理は 具材を変え 味を変えれば、割と手軽にできそうなところがいいようです。それに冷えた体を温めてくれるのもいいところ。今夜も いろんなご家庭で いろんな鍋料理を楽しまれることでしょう。

さて、うちでは いろんなお鍋を取り扱ってきましたが お店のコンセプト上 土鍋だけは販売したことがありません。いかにも和風なので お店のコンセプトに合わないからです。冬は鍋料理!と言っておきながら 土鍋を扱わないのですから 矛盾があると言われても仕方ないかもしれません。でも、洋食器にも 土鍋代わりになるお鍋があるので問題なしです。

それがこちら。

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アメリカのコーニング社、パイロセラムの超耐熱ガラス製の製品です。直火にかけられ、土鍋と同じ効果があるということで、自宅でも鍋をする時は アラジンのヒバリンの上で活躍してくれています。ガラスですが直火にかけられるというのは画期的。日本ではオーブンやレンジの普及とともに輸入され大ヒットしたシリーズです。様々な大きさ、デザインがありどんなご家庭にもあったものです。直火が使えることで 例えばグラタンをする際には具材を炒め、ソースを注いでオーブンに入れればグラタンの出来上がり。具材を別の鍋で茹でたり、炒める必要が無く、一つの鍋で作ることができます。そして、煮込み料理でも その保温性を生かし、じっくりことこと煮る料理に適しています。また、ガラスなのでもし焦げ付いてしまっても つけ置きや漂白もできますからお手入れも楽と言われています。それに何より、お鍋ごと テーブルに出してもいい そのデザイン性がやっぱり魅力です。

普段から洋食器に親しんでいても、鍋の時だけは和風・・・それもいいのですけど土鍋代わりの洋風お鍋 冬の季節に大活躍です。

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尊敬。

お店で扱う商品のほとんどは 1970年代~80年代にかけてのもので 日本国内で作られ、国内で消費され 当時の好景気を支えたものです。だから、誰もが 持っていたり、見たことのあるものばかりだったりします。しかし、今現在も 使い続けていたり、好きで集めていて ずっと持ち続けていることは ほとんどないでしょう。古いものというだけで 処分されることが当たり前と思われているものだからです。

経済成長を遂げていた時代、日本は 外国から輸入されるものや その製造元である国の人々の暮らしぶりを手本とし、日本人の暮らしに合うように商品の開発をしていました。輸入されたものを そのまま真似て作るのではなく 先駆者を尊敬し、尊重したうえで 日本らしいものづくりをしていたのです。輸入品と見比べて なんとなく似ているが それは似て非なるものと感じることができるのは やはり、日本独特の感性によるデザインの秀逸さにあると思うのです。

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先に書いたように 日本のメーカーは 輸入品をそのまま真似ることはありませんでした。有名デザイナーに外注する場合もあったかもしれませんが そのほとんどは メーカーに所属している 名もないデザイナーたちが生み出したものであったはずです。しかも、一人ではなく 複数人がデザインを考え、新商品に反映されたのではないかと思います。それぞれの得意分野をデザインで表現し、その時流に合うものを製品化してきた結果、一つの分野に偏ることなく 様々なものが生まれたのです。

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今、そういう苦労を経て作られたものを ちゃんと見てあげることが 私の楽しみになっています。当時の 名もなきデザイナーたちが 外国製品をオマージュし、ものづくりの点で まったく変わってしまったこの時代に たくさんの素敵なものを残してくれている。その思いを尊敬の念を持ちながら 受け取れる人でありたいと思っているのです。

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模様替えのすすめ。

昨日、久々に大掛かりな模様替えをしました。一つ家具が売れると 表現したいイメージが変わってしまうので 店内 家具の大移動をやらねば気が済まないのです。空いた場所に 違うものをポンと置けば それで済むことではないのです。それまで、お部屋にこんな景色ができれば 素敵じゃないですか?と自信をもってご提案していたものが 違うものを置いていいわけがありません。古い家具は 同じものが二つとありませんし、今まで置いてあった家具でも 場所を変え、コンセプトを変えることで 違う表情を見せてくれて、お部屋にも新しい景色となり 新鮮な気分で使ってあげられるようになるのです。だから、模様替えは大事。これまでも そうし続けてきたのです。

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実際の暮らしでも同じことが言えそうです。この家具の配置が一番!と思って暮らしている方はどれくらいいらっしゃることでしょう。一度置いたら 変えるのも面倒だし、そもそも 配置とか バランスとかのことは 気にしない。不自由がなければ問題なし。最初に 考えて考えて配置したから これ以上の配置は無い。と お考えの方が多いのではありませんか。

もし、せっかく探して出会えた気に入った家具であれば より良くなる場所や使い道を探すことは 自分の暮らす空間をより楽しくさせてくれるものだと私は思います。動かすことで この横にこんなのあれば・・・と新しい発想や発見が生まれることにもなるし、何よりも 生きる刺激にもなるように思うのです。動かすことのない景色の中に 気持ちの変化はなかなか起こりません。興味の対象がほかに大いにあり 常に動いている人は別ですが、いや そういう人にも 身を置く空間をちょっと変えるだけで 違う発想も生まれるのではないかと思うのです。そういう意味で 模様替えは おすすめです。

でも、模様替えは大変です。ただ 場所を変えればいいってわけはありませんので。まずは より良くしたいと願う気持ちと、イメージとその方法を知ることから始めなければなりません。あとは、気力と体力です。できた結果、いいね。と思えたら 何やら新しい自分と出会えたような気分にもなれるに違いありません。

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こんな日常。

街へ買い物に出かけた。大好きな本屋に立ち寄り、ぐるっと一回り。気に入った一冊を見つけてとてもいい気分だ。予定はしていなかったけど いい気分がウィンドウショッピングへと足を向かわせた。どうせなら ちょっといい服を見に行こう。街に来ている意味は そこにある。季節は もう秋へと進んでいて、見慣れたセールの幕がかかる店とは一線を画している。前から いつか機会があれば・・・と狙っていた シェトランドのクルーネックのセーターが目に留まる・・・。いくら いい気分とはいえ この出会いはあまりにも衝動的だ・・・ぐっとこらえて店を出る。欲しいものが見つかると ほかの店を見て回る気持ちはなくなる。買わなかったけど あの店にあるってことが分かっただけで 御の字だ。それは いい気分を継続させる。いつか買おうと思えるからだ。探しても無いのが常だから、この情報が大事なのだ。その気分のまま 帰ることにした。

道すがら近所のスーパーで買い物も済んだので少し早めの帰宅となった。まだ日も高いが 缶ビールを開けた。買った本をぱらぱらとめくる。いい休みになったな・・・風が心地よい。

夕食は カレーだ。お気に入りの調理台で サラダを盛り、炊き立てのご飯にカレールーをかける。福神漬けがあってよかった。冷えた水を注いだグラスにスプーンをさしておくのが 気に入っている。決して いいことばかりじゃないから こんな日常が愛おしいのだ。

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たしなむ人。

自宅でもうまいコーヒーを飲もうと努力する人を尊敬します。どんなことでも こだわりを持って行動する人は素敵だと思うのです。満足の一杯のために 豆を挽き、お湯を注ぐ。そういう時間がきっと大切なのです。

こんな道具が入荷しています。保存瓶付きのコーヒーミルとドリッパー付きのコーヒーポットです。どちらも少し古い時代のものです。たしなむ人には どう映るのでしょう。

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二人の景色。

一人掛けのソファをお買い求めいただいたので 店のレイアウトを変更しました。

この景色を見て感じるのは どんな二人の暮らしなのかな・・・ということで、少し妄想してみました。

ゆうべは お休みの前の日だから 少し夜更かしして、お酒を飲みながら古い楽曲を楽しんだ。曲によっては 当時のファッションの話をしたり、印象に残る映画の話で盛り上がった。若いころだから 当時、何を見て 何を感じていたかがわかって、知らなったことが少しだけ知れて なんだか楽しく、いい夜だった。すでに 朝が来て、起きたのは自分だけで、軽い朝食をとっている。

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そして、目の前に ゆうべ二人が過ごした景色が残っている。確かにここに 二人腰かけて 話していた。「今度は どんなレコードを探そうか?」「ビールグラスも新調したいね。」「明日は休みだから 探しに行こう?」そんな話をしたことを思い出す。

今日も暑そう。いい天気だ。さて、何を着て出かけようか。何かいいことに出会えますように。

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